くりっく365からの重大な予告!
会社が資金を調達するに際しては、運用計画を勘案し、最も適切な資金を最も適切な額だけ調達するよう努めなくてはなりません。
資金源のいろいろな特性(特徴)を総合的に評価しながら、資金コストが低く、量的に十分でかつ財務の安定性や経営権の安全に役立つように、適切な組合せによって資金を調達するわけです。
運用目的と調達方法の整合吐の観点からのみ組合せると、一般的には次の図12のような関係が成立します。
設備の拡張、更新等の設備投資の資金は、設備の稼働から生ずる収益により長期間をかけて回収されるものです。
長期の安定した資金を調達しなくてはなりません。
利益の内部留保や減価償却累計額より生じた資金、増資資金、社債や長期借入金などの長期の外部資金、リースや信託の利用、遊休固定資産の処分、運用有価証券などの流動資産の売却などの資金で手当します。
このうち、利益の内部留保や減価償却累計額より生じた資金とは、預金の増加や有価証券、その他の資産の増加となって会社に留保されているものを、資金が必要になったとき、この預金を引出したり、有価証券を売却したり、その他の資産を売却したり、回収したりして利用するわけです。
子会社、関連会社への投資、連携を深める目的で取引先株式を取得するためなどの資金は、長期の資金でなくてはなりません。
営業上恒常的に必要な在庫、請求締日のサイクルから常に一定額存在する(恒常的に存在する)売掛債権などのための固定的運転資金は、長期の資金や売掛債権との見合いで恒常的に存在する買掛金等の企業間信用によって手当します。
合理化のための人員整理等に伴う巨額の退職金支払、大口得意先の倒産による巨額の貸倒、法人税等の巨額な追徴支払のための資金は、適時の調達可能性に配慮しながら、その額に応じて長期、短期の借入金や固定資産の処分、流動資産の売却で手当します。
季節的な原因による一時的な売上の減少や費用の増加のために必要となった資金は、流動資産の売却、企業間信用、短期の外部資金により手当します。
株主配当金、役員賞与などの利益処分、法人税等の税金の支払などの決算資金は、その期の利益を留保しておいた預金の引出や短期借入金によって手当します。
この短期借入金は、売掛債権として資金化していなかった利益部分の回収や、翌期の利益により返済されます。
しかし、個々の会社はそれぞれ事情があるのですから、資金源泉の選択に当っては、資金コスト、利便性、経営権への影響度等の要素にウェートをつけ、独自の立場から総合的に評価しなくてはなりません。
これら要素にどれだけのウェートづけをするかは、当然に個々の会社によって異なるはずです。
成長に重点を置く会社は、ときには経営権の安全を低くみるでしょうし、現在の資本構成の是正を望む場合には、資金コストや調達の難易などよりも、株式の安定度や自己資本比率の向上など経営権の安全に役立つ調達手段が採用されることにするでしょう。
会社は明確な目標を掲げ、この目標に照らして各属性を評価しなければなりません。
例えば、中小企業においては、資金源泉のウェートづけに際して、将来の会社の性格に重大な影響を与える次の二つの事項を明確に定めておく必要があります。
中小企業の経営者の多くは創業者であり、自社株の大半を所有しています。
これは誇るべき財産ですが、経営者に万一のことがあった場合、もし生前に十分な株式対策を行なっておかないと、相続人を困らせ、会社の経営をも混乱させ、紛争のタネにもなりかねません。
それは次の二つの理由によっています。
相続税の計算上、成功している会社の自社株評価は、かなりの額にするはずです。
しかし、高評価される株式も相続人にとっては、大変やっかいな性質をもっています。
売却して納税資金を作ろうに乱買手が容易にみつからぬ場合が多く、買手があっても経営権確保のため簡単には自社株を手放せるものではない状況にあります。
経営権のバックには自社株が必要です。
創業者の場合、その個人的資質によって持分が低くとも経営権を保持しているケースがみられますが、後継者の場合にはまず困難です。
相続において自社株が相続人に分散されると、後継者の地位は不安定になります。
相続人間で争いが生じたり、後継者がなかなか決定されないと、経営は混乱することになります。
創業者健在の間に、事業継承の問題を十分に検討し、資金調達とからめて、株主安定化(持分50%以上の確保)の方策を実行しておく必要があります。
中小企業が発展していく過程で、様々な目的、例えば、従業員の士気高揚の目的、創業者一族の相続対策、将来の株式公開の目的等のために、従業員を対象とした増資を考慮することがあります。
従業員株主の誕生は会社の性格に少なからぬ影響を与え、決算政策や資金調達においても今までと違った配慮が必要になります。
従業員株主の創設に際しては、会社の進もうとしている進路を踏まえて検討することが必要です。
一般的に石油危機以前の会社経営は、生産面ではすでに確立している欧米の技術を導入して製品を大量に生産し、その販売により利益を得ていました。
資金調達面では、他人資本の大量調達によるレバレッジ(てこ)効果(総資本利益率よりも低い利子率により外部資金を調達することにより利益があがること)と債務者利得(インフレによる負債の目減り)により高い収益を計上していました。
導入した技術による製品は、すでに欧米に市場が存在しており、需要の予想も、製品のライフサイクルの想定も可能であり、投資に伴うリスクは高くはありませんでした。
しかし、石油危機を契機として、経済の環境は質量ともに大きく変化せざるをえませんでした。
もはや量的成長に多くを望むことはできず、売上拡大を図るためには、欧米に新局面に対応した技術が無いので、自ら新技術を開発して新製品を製造したり、原価を引下げざるをえなくなりました。
自ら新技術を開発しようとすることには高いリスクが伴います。
仮りに、技術開発に成功しても、工業化した場合の需要想定は技術導入時代と異なり明確ではありません。
生産設備には常に陳腐化に対する大きなリスクが存在しています。
このリスクを意識するとき、確実に元本の返済を求められる他人資本によって資金調達をしていることは、望ましくないということになります。
このような低成長経済の下では、総資本利益率が負債利子率より低くなり、本来は自己資本に帰属することにする利益まで他人資本への利払にまわされることになります。
このため、自己資本比率が低ければ低いほど総資本利益率が低下する結果となります。
これを防ぐために乱資本市場から有利な資金を調達してくる必要性があるのです。
資本市場からの資金の配分とその資金コストは、資本市場における会社の評価により決まります。
その評価が低ければ、配分額は少なく、資金コストは高くなります。
資本市場における会社の評価は、総資本利益率が高いこと、一株当り利益の成長性が高くかつ安定していることに依存しています。
この総資本利益率を充実させるためには、安定した収益力を保持し、資本市場での会社の評価を高めることにより資金調達力を強化する必要があるという循環的な関係にあります。
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